飛ばし読みについて

今日は時々質問を受ける「飛ばし読み」について書いてみます。
模試を受けて、あるいはTOEICを受けて時間不足になることってありますよね。
時間制限がなければもっと点数が取れたのに・・・と悔しい思いをしている人もいるでしょう。


そこで、速く読む方法はないか、速く解く方法はないか・・・
いい点数を取りたいと思う受験生なら、そう考えるでしょう。
そして受験生の取る行動は大きく分けて2パターンに分かれます。

1文1文を速く正確に読めるようにする

飛ばし読みのテクニックを身につける

です。


結論から言うと、1文1文の意味がとれない段階で飛ばし読みのテクニックを身につけようとするのは危険すぎます。英語に結構時間を掛けているにもかかわらずなかなか伸びない受験生の多くが、実は文単位で意味をとれていないことも少なくありません。毎年多くの受験生が「速読」の罠にはまっています。


まずは1文1文の構文がしっかりとれるようにすることが何より大事だと授業でも繰り返し言っています。これは、構文こそが読解の基礎であり、英作文の基礎であり、整序英作文の基礎であり、正誤問題の基礎だからです。構文の問題が解決されれば、受験英語の問題は一挙に解決されるのです。さらに、受験後も自分で論文を書いたり、ある程度高度な会話(単なる挨拶や日常会話を越えて)をするためには構文が不可欠です。


「構文が大事だということはわかりました。基本的な構文は大体取れてきました。それでも時間が足りません。」という質問を受けることもあります。これへの対処法は2つ。


1つは構文を取るスピードをあげること。構文を取るというのは、要はカタマリをつかむことですから、そのカタマリを素早くつかむ訓練をする必要があります。たとえば副詞のカタマリ(副詞句・節)があればそれは頭の中で軽く処理しつつ主節に注目するわけですが、カタマリをつかむスピードが速ければ速いほど主節(大事な部分)を速く読めます。結果的に文章全体をより短い時間で読めるようになります。


そのための訓練としては、カタマリを意識して数多くの文章にあたること、また構文がすでにとれている文章(授業で扱った文章がいいですね)、比較的簡単な文章(学校の教科書の文章など)を繰り返し音読するといいです。例としてわかりやすいかどうかわかりませんが、好きなアーティストのCDアルバムを繰り返し聴いていると、ある曲が終わったあと次の曲に入る前の短い時間に、頭の中に次の曲のイントロが流れてくることってありませんか?それと同じです。英文の構造には規則性がありますから、「これがきたら次はこれ」というのがあるわけです。これを自然につかめるようになるには、繰り返し声に出し、同時に自分の耳に入れることが最も効果的です。しかも、音読するためには発音アクセントを勉強しますし、音読では前から英文を理解しますからリスニング対策になりますし、単語・熟語も実際に使われている文脈で無理なく覚えられます。対策が立てづらいとされる分野の対策が自然とできてしまうわけです。
音読はすごい!という話になりつつあるので、話を戻します。


次にある程度構文が取れているにもかかわらず速く読めない場合の対処法2つ目です。
ざっくりいうと「わからないところは飛ばすしかない。」です。
たとえば試験を受けていて、1文1文読んでいき、わからない箇所が出てきたとします。
そこで「1文1文を丁寧に読まなければならない。」という強迫観念に駆られて文と睨めっこしていては時間がいくらあっても足りません。さっと印をつけて先に進みましょう。誤解を恐れず言うと、そもそも文章というのは同じことを繰り返し言うものですから、その一文の内容が仮にわからなかったとしても問題なかったり、そのときわからなくても読み進めていくうちにあとから意味が分かったりするものです。その箇所が設問で問われていたらもう一度戻ってじっくり考えるといいでしょう。日本語の文章ではそれを自然にやっているはずなんです。ただ、試験を受け終わったら必ず印をつけた文の確認をしましょうね。また、日々の授業の予習では時間の許す限り考えてみましょう。


「飛ばし読み」についてまとめると、
「飛ばし読み」には2種類あります。
構文が取れない状態で、最初から文章の一部しか読まないつもりで読んだり、単語を拾って読む「飛ばし読み」は、絶対にやるべきではない。(いつまでたっても英語ができない。模試で点数が取れても本番では取れない。)なお、パラグラフリーディング等を否定しているわけではありません。構文が取れていない状態でこうしたものに依存するのは危険だと言っているだけです。むしろ場合によっては構文が取れた状態でそのようなテクニックを使うと有効でしょう。

他方、構文がある程度取れる状態で読んでいき、わからない箇所があれば試験の時は周りから推測しつつ「飛ばし読み」をし、試験後丁寧に確認をする、こういう「飛ばし読み」は試験対策としても、読解力をつける(論理的に推測しようとするから)うえでも効果的。最終的には「飛ばし読み」がなくても読めるようになれればベストだし、そこを目指してほしいと考えています。



受験生としての大事な1年を、「正しい勉強」をして過ごしてほしいと心から思います。